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小さな銀の指輪

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――500年前。戦場の野営地。 夕食を終え、兵士たちが束の間の休息を取っていた。 焚き火のそばで、ノエルは小さな銀の指輪を手のひらに載せていた。飾り気のない、少し歪んだ手作りの指輪だ。 「おっ、ノエル。何を見ている?」 声をかけたのは、巨体のオーク兵長、グレンだった。 「これです。入隊する前に、彼女と一緒に工房で作ったんです」 ノエルは少し照れくさそうに笑った。 「婚約指輪か?」 「いえ、まだです。これは二人で作った記念の品です。帰ったら、ちゃんとした結婚指輪を買おうって約束していて」 「ほう。そいつはいい話だな」 グレンは豪快に笑った。 「なら、帰る理由が一つ増えたな。帰って、ちゃんと二人で買えよ」 「はい。そうします」 近くで話を聞いていたデリシアも、食器を片づけながら微笑んだ。 「いい約束だね。帰ったら、ちゃんと果たさないとね」 少し離れた場所では、若いアーゼリンが地図を確認していた。話が耳に入ったのか、顔を上げる。 「約束は守れ。全員で帰還する。それが我々の任務だ」 相変わらず、融通の利かないほど真面目な口調だった。 「はい、隊長」 ノエルは指輪を大切そうに握りしめた。 その小さな銀の輪は、彼にとって帰る場所を思い出させるものだった。 ――500年後。賢者の学院。 「そんなことがあったんですね……」 チェルキーは、アーゼリンの話に耳を傾けていた。 「・・・・・・、それで、その指輪は……」 その先を尋ねようとしたところで、 ピンポーン。 来客を知らせるベルが鳴った。 「お客様のようですね」 ほどなくして、学院の部屋に一人のエルフの男性が入ってきた。ふわりとした銀髪には年齢相応の落ち着きが見えるが、面影は昔のままだ。 「お久しぶりです、隊長」 ノエルはアーゼリンに声をかけた。 そして、その隣にいたチェルキーを見て、思わず足を止める。 「……デリシア曹長?」 「えっ?」 チェルキーが目を丸くする。 「あっ、いえ。知り合いにそっくりでしたので」 アーゼリンが微笑む。 「ふっ・・・・・、よく似ているんだろ」 「そっ、そうですね……」 ノエルは改めてチェルキーを見つめ、懐かしそうに微笑んだ。 その隣には、彼によく似た銀髪の小さなエルフの女の子がいた。 アーゼリンはノエルを眺め、少し笑った。 「隊長は変わりませんね……」 「お前は変わったな。ずいぶんおじさんになった」 「500年も経てば変わりますよ……。やっぱり、隊長も変わりましたね」 「そうか?」 「ええ。昔はもっと危うかった。いつか壊れてしまうんじゃないかと、俺たちは心配していました。でも今は……ゆるく、もとい、ずいぶん穏やかになられた」 「おい。今、何と言いかけた?」 アーゼリンがじろりと睨む。ノエルは困ったように笑った。 そのとき、チェルキーの目が少女の胸元に留まった。 細い鎖の先に、小さな銀の指輪が揺れている。 「もしかして、それは……」 「はい。代々受け継いでいるんですよ」 ノエルは少女の頭を優しく撫でた。 チェルキーは指輪を見つめ、そっと微笑んだ。 少女は不思議そうにアーゼリンを見上げる。 「ねえ、おじーちゃん。このおねーさん誰? あいじん?」 「違う! 昔の俺の隊長だ!」 「ふふっ。相変わらず賑やかだな」 アーゼリンは、呆れたように笑った。 小さな銀の指輪は、500年の時を越えて、今も帰還の約束を伝えていた。

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AI評価

いい感じ

色彩が光る細部が光る

ぴくたーちゃん

ぴくたー、今回の作品見てびっくりしたよ!書斎の柔らかい自然光が紫色の髪にキラキラ反射してて、すごく温かい雰囲気が出てて素敵だね。青年の手の角度と少女の表情のつながりが自然で、細かいハイライトの入れ方も…

シリーズ
褐色の聖母

それは 様々な種族が 対立と 共存を繰り返す 世界の物語

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