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森で交わる旅の縁
森の分かれ道で出会ったのは、旅慣れた雰囲気の行商人の少女だった。 背中には、彼女の身体が隠れてしまいそうなほど大きなバックパック。 「旅人さん、何か買っていかない? この森、次の店まで遠いよ」 特に必要な物はなかったが、これも旅の縁と思い、 なんとなく目についた回復薬を一本だけ買った。 少女は代金を受け取ると、嬉しそうに笑う。 「ありがと。優しいお客さんには、おまけの情報をあげる」 少女は軽い調子で続けた。 「今夜、森で“鐘の音”がしたら、灯りを消して息を止めて」 奇妙な忠告だけ残し、少女は荷物を背負って去っていった。 ――半信半疑のまま夜を迎えた。 やがて遠くで鐘が鳴る。 その瞬間、森中の気配が消えた。 慌ててランタンを消し、息を潜める。 するとすぐ横を、巨大な黒い影が音もなく通り過ぎていった。 影が去った後もしばらく動けなかった。 安い回復薬一本で、命まで拾うことになるとは思わなかった。
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