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花の楽園 第二夜
「おかえりなさいませ、ご主人様……今宵もようこそ、お越しくださいました。 ここは、語られぬ夢が根を張る場所――花の楽園《ル・フローラル・ノクティス》。 時の流れも、季節の理も忘れた場所にございます。 咲き誇るは想いの花、散りゆくは嘘の花。 咲くは泡沫の真実、香るは名もなき感情…… どの一輪にも、物語が秘められております。 今宵も、幾つかの花をご紹介いたしましょう。 🌼《ソワン・リュミエール》 柔らかな黄金色の花弁が、常に陽光の方角を向いて咲く花。 触れると体温を感じるような温もりがあり、不思議と心を安らげます。 花言葉:「あなたの疲れを癒やしたい」 お疲れなのですね、ご主人様。 どうか、わたくしの膝に頭をお乗せください。 今日という一日、咲いて待っておりましたのよ。 「お気に召したのなら……わたくしの手で、そっと差し上げましょうか。 どの花も美しく咲いております。そして、ええ……貴方のためなら、喜んで歪みます。 お代? いえ……その代わりに、ご主人様の……を、少しだけ……」