『琥珀色の甘い夢』
甘やかな匂いに誘われて、魔法少女は使い魔の白兎を連れて町のチョコレート工房を訪ねた。店内には琥珀色の灯火が柔らかに揺れ、チョコレートは蕩けて琺瑯の器からゆったりと滴っている。ふと彼女が視線を移すと、工房の片隅に奇妙な人影が見えた。灯火に映えるそれは、真鍮と鋼鉄の継ぎ目を光らせ、時折青白い電子の火花を散らす機械人形だった。魔法少女が近づくと、人形はぎこちなく振り返り、その瞳にはどこか寂しげな電子光が宿っていた。「あなたも、甘い夢を見たいの?」と少女が尋ねると、人形は黙したまま艶めくチョコレートの器を見つめている。そこには、溶けたカカオの艶が、切なくも美しい夜を映していた。