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フィリアンの戦い3
ヴィルア諸侯の一部が、大公の援軍のためと称して兵を出した。戦場である北方ではなく王都へむかい、幼い王を奪い実権を握ろうと目論んでいた。 だが、大公妃にして元ヴィルア王女、幼王の叔母であるフィリアンはルロア・スティクスの軍勢を率いて王都ヴェインに入っていた。 諸侯らはその準備に観念し、あくまで大公への援軍で挨拶に寄ったと主張したが、先触れもなく王都に軍を向けたことをフィリアンは許さなかった。 「もしフロリアンがこの場にいたらどうされるか」との暗喩に、臣下・政権派の諸侯はこれを討伐することを決めた。 ウイブラム「全軍、進撃。不逞なる諸侯、逆賊を討て!」 ディアス「ミケーレ、奥方を城内へ。その後、主力を迂回して敵の側背を突け!」 整然とした行進からの突撃に、諸侯軍は対処できなかった。さらに、フィリアンを王都へ送り届けたミケーレが再出撃し、すでに崩れ始めていた諸侯軍の側面へ突撃した。 ディアス「捕らえた諸侯やその諸将の処遇はいかがなさいますか?」 ドレグン「ぶっ殺しましょう! そして(アンリ王を推戴する)諸侯を集め、奴らの本領を責めるべきです」 フィリアン「本来ならアンリ陛下がお決めになることですが、まだその重責を負わせることはできません。私にも決められません。 いずれにせよ、大公にことの次第を伝えなければなりません。一緒に裁可を求めましょう」 フィリアン退出後。 ウイブラム「今後、アヴェリン様への援軍として出兵される諸侯は、いちどヴェイン(王都)へ向かうよう要請しよう」 ディアス「どういう意味ですか、父上?」 ウイブラム「アヴェリン様より逆賊の追討を命じられるやもしれぬ。返書でその必要なしとなれば、改めて援軍に向かってもらえばよい」 https://legacy.aipictors.com/works/523613/