「ネズミトラリアの悲劇」
宇宙の果てにある小さな小惑星で、実験用マウスを載せたロケットが軌道を逸れてしまった。その結果、マウスたちは小惑星に不時着してしまった。しかし、この小惑星には知的生命体が住んでおり、マウスたちに知性を与えることに成功したのだ。知性を持ったマウスたちは、感謝の意を示すために知性上昇装置を手土産に、地球への帰路についた。
マウスたちは地球に戻り、仲間を集めて新たな国家を建国することを決意した。彼らはシドニーをモデルにして首都を作り上げ、ネズミトラリアと名付けた。そして、ネズミたちには豊かな土地と水と食料が提供され、理想の社会が築かれた。
最初はネズミトラリアは繁栄し、個体数は急速に増加した。しかし、やがて成長率が鈍化し、社会構造が崩壊していくことが始まった。子離れの前に子を追い出したり、子の負傷が増加したり、同性愛行動が増加したりといった異常な行動が目立ち始めたのだ。また、支配的な雄が縄張りと雌の防衛を維持できなくなり、雌の攻撃的な行動が増えたり、防衛されることのない個体間攻撃が増えたりといった社会の異常も見られた。
結局、ネズミトラリアの個体数は減少し、繁殖行動は再開されなかった。空間と社会的役割が埋まると、競争とストレスが複雑な社会行動を崩壊させ、最終的には個体数が終焉を迎えることが、ネズミトラリアの悲劇的な結末だった。
[おしまい]
ネズミトラリアの悲劇
宇宙の果てにある小さな小惑星で、実験用マウスを載せたロケットが軌道を逸れてしまった。