SS クリスマス「俺と妹」(再投稿)
「お兄ちゃんも、クリスマス予定ないの?」 「なんだよ、嫌味か、ノエル」 「違うよ。私もね、クリぼっち、ひとりで寂しいなって」 「そうか」 俺はハルタ18歳。 でこっちが生意気な妹、ノエルだ。 まるでクリスマスに祝福されてるような名前してるのに、クリぼっちなのか。 「まぁいい」 「一緒にクリスマスしようね」 「わかった」 こうして俺は妹と二人、クリスマスを過ごす。 両親は年末で忙しいそうだ。 「お兄ちゃん、メリー、クリスマス」 「ああ、メリクリ」 「シャンパンじゃなくて、シャンメリーだけど、乾杯」 「乾杯」 「チキン、鳥の唐揚げだけど。それからショートケーキね」 「おう」 近所のスーパーで買ってきただけだが、絵にはなる。 彼女とか欲しいものだ。生まれてこの方、できたことはないが。 唐揚げを頬張る妹の方を見る。 「ふふふ、お兄ちゃん、大好きだよ」 「お、おう」 家族として、か。 妹は正直いえば、かなりかわいい。 こいつにも彼氏がいないのか……。 この妹を独り占めできて、なんだか、優越感がある。 二人でテレビを眺める。 なんでもない日常。 普段と何も変わらない。 だが、今夜は特別な夜で、それでも日常を続けようとする。 「ありがとう、ノエル」 「何お兄ちゃん。こっちこそ、いつも、ありがとうだよ」 「ああ」 「はい、お兄ちゃん、プレゼント」 朗らかに笑う。 その笑顔がいつまでも見られるといいなと思った。 (終) ※カクヨムにも投稿しています。