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BLUE FANG ―蒼月の狼― 番外編『稲荷の迷い狼』
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――ある日の午後。 街を歩いていたリゼルは、ふと目に入った赤い鳥居に足を止めた。 鳥居の向こうには、静かな境内と並んだ狐の石像。 特に気にする様子もなく、リゼルはそのまま境内へと足を踏み入れる。 そのとき―― たまたま居合わせた参拝客が、狐の石像のそばに立つリゼルの姿に気づいた。 揺れる耳。 ふさりと伸びた尻尾。 そして、その周囲を取り囲むように並ぶ狐たち。 参拝客は思わず目を見開いた。 「お稲荷様だ……!」 「…………」 聞こえてきた言葉に、リゼルの耳がぴくりと動く。 少しの沈黙のあと、ぼそりと一言。 「…………狼なんだけど。」 だが、その呟きは届かなかったらしい。 狐の石像の前に立つリゼルを、参拝客はますますありがたそうに見つめている。 「…………」 リゼルの頬が、みるみる赤くなっていく。 そして――ついに限界を迎えた。 「私は狼だーーーっ!」 真っ赤になった顔を隠すように、リゼルは境内から全速力で駆け出していった。 静けさを取り戻した境内。 残された参拝客は、遠ざかっていくリゼルの背中をしばらく見つめていた。 その日、この神社では―― 「ものすごく足の速いお稲荷様を見た」 という噂が、ひっそりと囁かれたという。 ★『リゼル・ヴァイスファング』の設定はコチラから ↓ https://www.aipictors.com/posts/786231 ★『BLUE FANG ―蒼月の狼―』の紹介はコチラから ↓ https://www.aipictors.com/posts/786336
