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蒼と紅の海/スマホ壁紙アーカイブ
【蒼と紅の海】 海は朝から静かだった。 水面を覆う無数の花びらだけが、 風もないのにゆっくりと沖へ流れていた。 深い蒼の中を泳ぐ大きな影は、 それらを追うようでもあり、 見送るようでもあった。 昔この海辺では、 春の終わりに花を一枚ずつ水へ浮かべ、 遠くへ行った人の無事を願う習わしがあったという。 今年も誰かが花を流した。 けれど浜辺には、 もう祈る人の姿はない。 青い旅人は水面近くまで浮かび、 紅い花の群れを一度だけ見上げた。 その瞬間、 海の底まで届いた光が、 忘れられていた季節を静かに照らした。
