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【実話】 『 2x号室の怪異 』
『 2x号室の怪異 』 私が入院していた病院での話です。 その病院では、消灯時間を過ぎると、 薄暗い廊下に “それ” が現れました。 長い、ぼさぼさの黒髪。 白いマスク。 病棟の照明は落とされているため、顔はよく見えません。 ただ、その人影が 「 2x号室 」の前の廊下に立っているのです。 何をするでもなく。 ゆら……ゆら……。 身体を左右に揺らしながら、いつまでもそこにいるのです。 不思議なのは、夜勤の看護師たちでした。 当然、その姿は見えているはずです。 ナースステーションは明るく、 そこから廊下を見渡せば、 “それ” が立っていることには嫌でも気づきます。 それなのに、誰も声をかけません。 近くを通るときでさえ目を合わせず、 まるでそこには何もいないかのように、忙しそうに通り過ぎていきます。 やがて “それ” は動き始めます。 薄暗い廊下に、 ひた……。 ひた……。 足音だけが響きます。 そして、煌々と明かりのついたトイレへ入ると―― そのまま個室の中へ消えていくのです。 これが、一晩だけではありません。 消灯後になると現れる。 暗い廊下に立ち、身体を揺らす。 そしてトイレへ消えていく。 そんな夜が、何度もありました。 ──ええ、私です。 ヘアアイロン持ち込み禁止で髪の毛うねってるわ、 同室の他の患者のイビキの大合唱がうっさいわ、 抗がん剤治療後の便秘で腹パンパンだわで寝られなかったんだよ!! ※都内某病院──場所は伏す。
