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【風が渡る丘で、女神はただ微笑む―医療の女神エピオネーラ】
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初夏の草原は、陽光を浴びて柔らかな緑に染まっていた。 緩やかな丘を渡る風が草を揺らし、白や紫の野花が小さく頷くように揺れる。遠くでは雲雀がさえずり、どこまでも青い空には、ゆっくりと白い雲が流れていた。 その丘の中腹で、エピオネーラは大きな身体を草原へ預けるように腰を下ろしていた。 その足元――白金の神靴のすぐそばでは、ディノスとカリナが並んで立っていた。 二人にとっては見上げるだけで首が痛くなるほどの高さだが、エピオネーラにとっては、ごく普通に会話できる距離だった。 「それでね、今日は村の子が初めて薬草の名前を全部覚えたのよ。」 エピオネーラは嬉しそうに笑う。 「へぇ、それはすごいですね。」 ディノスも自然と笑みを浮かべた。 「最初は全部『緑の葉っぱ』って呼んでたのに。」 「それは豪快ですね。」 「でしょう?」 くすくす、と鈴のような笑い声が草原へ溶けていく。 隣ではカリナも微笑みながら頷いた。 「でも、エピオネーラ様が何度も教えてあげたからでしょう?」 「私は少し手伝っただけよ。頑張ったのはあの子。」 誇るでもなく、ごく自然にそう答える。 その何気ない言葉が、ディノスは好きだった。 神でありながら、自分の功績を語ろうとは決してしない。 癒やした命も、救った村も、本人は「みんなが頑張った結果」と笑ってしまう。 だからこそ、人々は彼女を慕うのだ。 穏やかな風が再び吹き抜ける。 ディノスはその風を受けて肩をすくめた。 「今日は本当に気持ちのいい風ですね。」 「でしょう?」 「ただ……。」 彼はエピオネーラを見上げる。 「その風で髪が舞うたびに、眼鏡がずれそうになってますけど。」 「あら。」 エピオネーラは鼻先へ指を添え、眼鏡をそっと押し上げた。 「ほんとだ。」 「だから言ったじゃないですか。」 「ふふ。」 彼女は少し照れたように笑う。 「ディノスって、本当にそういうところをよく見てるのね。」 「医者ですから。」 「それだけ?」 「……それだけです。」 少しだけ返事が遅れた。 その間を、カリナは見逃さなかった。 「ふふ。」 「何です、その笑い。」 「いえ、何でもありません。」 「絶対何か思いましたよね。」 「秘密です。」 楽しそうに肩を寄せるカリナへ、ディノスは困ったように息をつく。 そのやり取りを見下ろしていたエピオネーラは、声を上げて笑った。 「あははっ。」 その笑顔は、神々しいというよりも、どこにでもいる年頃の女性のようだった。 優しくて、穏やかで、見ているだけで胸の力が抜けていく。 笑い声は草原を渡り、風に乗って丘の向こうへ消えていく。 しばらくして、エピオネーラはゆっくりと右手を草の上へ差し出した。 人間から見れば、小さな広場ほどもある大きな掌。 「ねえ。」 「はい?」 「今日は時間もあるし。」 彼女は目を細めて微笑んだ。 「このままお昼寝でもしようか。」 ディノスは思わず苦笑する。 「そんなことしたら、また村の人たちに『女神様が丘になってる』って噂になりますよ。」 「あ、それ面白そう。」 「面白がらないでください。」 「じゃあ、木陰ってことにしておきましょう?」 「大きすぎる木ですね。」 「ふふ、夏には人気が出そう。」 「確かに日陰は広そうです。」 三人は顔を見合わせる。 そして、誰からともなく笑い始めた。 初夏の風は優しく草原を撫で、野花は静かに揺れ続ける。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ●GPTはショートだ、短くだ。と言ったのにすぐ長くする(´・ω・`) ※エピオネーラの設定はこちら→https://www.aipictors.com/posts/714845
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