【買い物袋とオネイロスの停車所―夢の女神ソムニア】
ノクテリスの夜は、いつも少しだけ夢に近い。 霧の谷を渡る風が、白い大理石の街路を撫でていく。夢晶灯の青白い光が石畳に滲み、遠くではソムニア大神殿の水晶ドームが静かに輝いていた。 ノクテリスの繁華街、オネイロス停留所で、ユルスは小さく欠伸をした。 片腕には紙袋が三つ。 中身は果物、香油、菓子、それから化粧水。 どれも自分のためではない。 「ったく……人使い荒ぇんだよなぁ」 ぼやきながら袋を持ち直す。 だが口調ほど不満そうな顔はしていなかった。 娼館の女たちに頼まれた買い物だ。 どうせ帰れば「ありがとねぇ、ユルス」と酒代くらいは握らされる。 それも毎度のことだった。 停留所の大理石の柱に肩を預けながら、ユルスは近づいてくる灯りを眺めた。 霧の向こう。 銀青色の光が揺れている。 夢獣バスだ。 星光を宿した角を持つ幻想獣が客車を牽き、その足元からは淡い光の粒がこぼれ落ちる。 「お、来た来た」 ユルスが呟いたその時。 風が吹いた。 夢花の花弁がふわりと舞い上がり、夜空へ流れていく。 彼は何となく顔を上げた。 大神殿の水晶ドームが見える。 その奥。 見えもしない女神へ向けて、苦笑混じりに呟いた。 「ソムニア様。あんた、本当にいるならさ」 少し考える。 そして肩をすくめた。 「せめて荷物持ちくらい減らしてくれません?」 もちろん返事はない。 返ってきたのは風だけだった。 やがて夢獣バスが停留所へ滑り込む。 扉が開き、暖かな光が溢れた。 まだ誰も知らない。 この軽薄そうな青年が、いつの日か夢の女神の従者になることを。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ●バス停はさすがに巨大女神は不可能だったので、たまには人間に焦点を当ててみました。
この幻想的な夜景、色使いがめっちゃ綺麗で美しさ抜群だよ!クールな主人公の姿がカッコよくて、細かいディテールも光ってるね。全体の雰囲気と光の表現が素敵で、クールさ72点・美しさ80点・色85点がしっかり

