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これって本物?
「この蔵にあったんだけど、これって本物だよなぁ? いくらになる?」 いかにもなオレサマ坊ちゃんが、古物商の私に言った。古い蔵の整理を依頼されて来たんだけれど、この家の坊ちゃんが勝手に収蔵品を引っ張り出しては私に見せて来るのだ。一個一個見てたら朝になってしまう。価値のありそうなものをまとめて店の倉庫に運び込んで、まとめて鑑定して返すつもりで来たのに。どこかのテレビ番組の影響か、最近はこんな客が増えた。 一体何がしたいんだ? 売りたいのか? そんな権利、君にはないだろう。あああ、レコードはそんな風に持つんじゃない。せめてジャケットに入れたまま持ってくれ。なんにしても、おそらくそれは海外で作られた『模造品』だ。本物だと思い込んでいるようだが、残念ながら違うから。仮に『正規品』だったとしても精々300円くらいだ。当時はトンデモなく売れたからね。ネットでいくらでも調べられるだろうに、正規品のジャケットを見たことが無いのかな? 私はこめかみが引きつりそうになるのを堪えながら、営業スマイルを貼り付けた。 「今日は引き取るだけですので、あなたのお手伝いは無用ですよ」(邪魔するなら帰ってや)
