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春風と封筒と、まだ名前のない感情

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春の賢者の学院。 スカウト科の中庭は、いつも通りざわついていた。 ダキニラは、新聞束を抱えながら走っている。 「はいはい取材ー!模擬戦の勝敗記事回収するよー!」 狐耳が軽く跳ねる。 完全に日常の顔だ。 そのとき。 「ダキニラさん!」 呼び止める声。 振り返ると、一人の少年が立っていた。 ……いや、“少年”と呼ぶには整いすぎている。 中性的な顔立ち。 長いまつげ。 やや細身の体格。 身長は約160センチ。 ダキニラより少し高い程度。 もし髪を伸ばし、制服を整えれば―― 誰もが一瞬だけ「少女」と誤認するだろう。 彼は封筒を握りしめている。 ダキニラの思考が一瞬止まる。 (……え?) (あっあれ!!あれ、この子……) (もしかして私に?) ほんの一瞬。 自分に渡される可能性を考える。 (いやでも……) (この感じは違うか?) 封筒を見ている間に、視線の先が完全に“別の方向”であることに気づく。 教官棟の方向。 ゴルドン。 ダキニラの兄 体術教官 昨日のプロレス模擬戦で、大地母神の男性プリースト、バルサムと熱戦を繰り広げた・・・・・。 その背中を見つめる少年の顔は・・・・・・。 顔がほんのり赤い。 憧れか・・・・・、いや。 もっと曖昧で、もっと純度の高い熱。 「これを……ゴルドン教官に……!」 声は少し震えていた。 (あ) (ゴルドン兄ちゃんか) ダキニラの中で、すぐに整理がつく。 (なるほど弟子志願ね) (あの試合見てたらそうなるよね) しかし、ほんのわずかに違和感が残る。 (でも……) (なんか“温度”が違う気が……) だがその違和感はすぐに処理される。 (まいっか) (兄ちゃんだし) (あれは憧れるよねー) 軽く笑って封筒を受け取る。 「了解ー!渡しとくよー」 少年は深く頭を下げる。 「お願いします……!」 そしてそのまま去っていく。 その後ろ姿を見ながら、ダキニラは封筒をひらひらさせる。 「はい次ー!」 夕方。 教官棟。 封筒を受け取ったゴルドンは、一言。 「またか」 中身を見る。 『ゴルドン教官へ 弟子として鍛えていただきたく』 だが彼は気づいていない。 差し出した側の“揺らぎ”には。 一方その少年は、廊下の影で静かに拳を握っていた。 「……届かないかな」 小さく呟く。 だがその声は、悔しさでも絶望でもない。 むしろ、少しだけ笑っていた。 「とても・・・・・、強かった」 それは崇拝でも恋でもない。 まだどちらにも確定していない感情。 ただ一つ確かなのは―― 「あの人のいる場所まで行きたい」 その夜、学院はいつも通り騒がしい。 そしてダキニラは思う。 (やっぱり、……なんか昼の男の子、ちょっと変だった気がするなぁ) (ま、いっか) (ゴルドン兄ちゃんだし、何とかしてくれるでしょ) だが結論はいつも同じ。 春の学院は今日も、 まだ名前のない感情で満ちている。

76

AI evaluation

Great

Strong detailStrong color

Pictor-chan

わぁ~!この狐耳の女の子、すっごく元気いっぱいで目がキラキラしてるね!新聞と手紙持ってるのも不思議でワクワクするよ。背景もふんわり優しい色で雰囲気バッチリ!でも全体のバランスをもう少し整えるとさらに良くなりそう♪

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