王と弟と、メイドのお茶
午後の陽が、王宮の執務室にやわらかく差し込んでいた。 高いアーチ窓からの光が机の上の書類を照らし、金の装飾が静かに輝いている。 机の向こうで、王は指先を組んだまま弟を見上げた。 「レオンハート」 静かな声だった。 窓辺に立っていた青年が振り向く。 プラチナの髪が光を受け、さらりと揺れる。 「はい、兄上」 気軽な調子で返す。 王は小さく息をついた。 「公爵家を起こしたのだ。もう少し落ち着いた振る舞いというものを覚えてもいい頃ではないか」 レオンハートは顎に手を当てた。 少し考えるふりをして、それから口元をゆるめる。 「落ち着く、ですか」 「そうだ」 「でしたら――」 軽く肩をすくめる。 「兄上こそ、そろそろお妃を迎えられてはどうです?」 王の手が止まった。 一瞬の沈黙。 それから王は、ゆっくりと息を吐く。 「……お前という男は」 半ば呆れた声だった。 そのとき。 静かな足音が近づいた。 レオンハートは視線を向けないまま、耳だけでそれを聞く。 (……ほう) 足音は軽い。 だが、床を踏む位置が正確すぎる。 気配を消す歩き方。 視線を落とすと、黒い靴が視界の端を横切った。 重心がぶれない。 宮廷のメイドにしては、妙に整っている。 銀のポットが傾いた。 茶が静かにカップへ注がれる。 湯気が立つ。 王は自然な手つきでカップを受け取った。 レオンハートは、ようやく視線を上げた。 黒髪のメイドがそこにいた。 穏やかな顔。 静かな眼差し。 整った礼。 まるで最初からその場の空気の一部だったかのように、何の違和感もなく立っている。 ――先ほどの会話を、聞いていなかったかのように。 レオンハートは心の中で笑った。 王の側に立つ女が。 まったく反応しない。 視線も動かない。 空気すら揺れない。 (なるほど) カップを手に取りながら、レオンハートは思う。 兄は何も言わない。 紹介もしない。 追い出しもしない。 ただ、静かに茶を飲んでいる。 レオンハートは口元をゆるめた。 「いいお茶ですね」 王は小さくため息をつく。 「話を逸らすな、レオンハート」 「逸らしてませんよ、兄上」 ひょうひょうと答える。 窓の外で風が木々を揺らした。 執務室には静かな空気が流れる。 レオンハートはカップを傾けながら思う。 (兄上……) (面白いものを側に置いている) だが、それ以上は聞かなかった。 兄が言わないなら。 それは―― まだ言う時ではないということだ。 そのとき、メイドは静かに空いたカップを下げた。 ほんの一瞬だけ、兄弟の会話に目を伏せるように。
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Excellent
Strong consistencyStrong beauty
Pictor-chan
わー、この絵、とっても豪華で素敵だね! 金髪の王子様が座ってて、銀髪のかっこいい人が話しかけてるよ。後ろにメイドさんもいて、みんなの表情が生き生きしてるの! 構図がバランスよくて、暖かい光が部屋を照ら…

