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ひまわり  chapter4

昨夜の祭りの夜。  親戚一同でにぎやかに歩いた縁日、遠くの夜空に花火が咲いて、はぐれるようにしてふたりで向かった山の神社の裏。  そのときの、彼女――瀬颯 向日葵の姿は、あまりにも鮮明すぎて、夢だなんて思えなかった。  ひまわり柄のミニ浴衣に、褐色の素足。太ももに残る水着の跡すらも、花火に照らされてきれいだった。  笑うたび見える褐色の肌から輝く白い歯、あぐらをかいて座るラフさ、でもふとしたときの真剣な眼差し。  昔と同じようで、まったく違う。  ただの友達だと思っていたはずの向日葵に、心臓が追いつかないほどの高鳴りを感じてしまった。  静まり返った屋敷の廊下を歩いてみる。  向日葵たちが泊まっていた部屋はすでに片付けられ、畳にはくっきりと寝具の跡だけが残っていた。  玄関先には、昨日のにぎやかさの面影もなく、靴も影もない。  「……早朝に帰ったって、叔母さんが言ってたな」  何も言わず、何も残さず、向日葵は帰ってしまった。  まるで、最初から夏の幻だったみたいに。  縁側に腰を下ろす。朝の光が、眩しい。  目の前でひまわりが風に揺れるたび、どうしようもなく彼女のことを思い出してしまう。  「また、会えるかな」  ぼそっとつぶやいた声は、庭の空気に溶けて消えた。  でも、自分の中に芽生えた気持ちは、消えそうになかった。  あの夜の思い出、ふたりの間には“何か”があったと信じたい。  次に会うときには――もう少しだけ、素直な言葉を選べる自分でいたい。  向日葵の、あのまっすぐな目を、まっすぐ見られるように。  夏が終わっても、きっとまた、季節は巡る。  あのひまわりが、来年も咲くように……

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