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蒼穹のフロンティア【消せない記憶】
カイル・エルドリッジとミーナ・カーティス。 二人は、アリシアにとって初めて与えられた部下だった。 まだ若く、どこか不器用で、それでも前を向こうとしていた二人。 任務前のブリーフィングでも、どこかぎこちなく背中を合わせながら立っていた。 カイルは落ち着いた笑みを浮かべ、ミーナは少し照れながらも真剣な眼差しでアリシアの指示を聞いていた。 あの日の光景は、今でも鮮明に思い出せる。 ——だが、その記憶の続きは、あまりにも残酷だった。 ヴォイドとの初戦闘。 それは訓練とはまったく違う、 圧倒的で、理不尽な戦場だった。 敵の影、通信のノイズ、警告音。 そして、次の瞬間には—— 二人の機影が、レーダーから消えた。 それだけだった。 アリシアは何度も思う。 もしあの時、別の指示を出していたら。 もし自分が前に出ていたら。 もし作戦を変えていたら。 だが、どれだけ考えても、その答えはどこにもない。 夜になると、時々思い出す。 あの時の二人の背中。 任務前に見せた、ぎこちない敬礼。 頭の中の『消しゴム』で、その記憶を何度消そうとしても—— 決して消えない。 それは、アリシアが背負い続ける最初の戦場の記憶だった。
