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春は石畳に咲く

学院正門の石壁に、午後の光がやわらかく落ちていた。 その足元、石垣の隙間に根を張った菜の花が、風に揺れている。 金糸のように細くはない。だが、確かな黄色。 ぶも~。 牛の鼻息が、花を揺らした。 「それは観賞用です」 静かな声とともに、石畳へ金属が触れる音がする。 す、と長柄のグレイブが地面に立てられた。 緑髪の高いポニーテールを揺らし、チェルキーが盆を持って立っている。 女学生服に酷似したブレザーミニプリーツスカートの助教用制服。 学生用より上等な仕立てで、裾には学科を示す緑の二重ライン。金縁緑のマントが肩を覆う。 細身で可憐なエルフのような容姿。だが、立ち姿には揺るぎない生命力。 腰には、明らかに料理用とは言い切れない大ぶりの牛刀。 牛は、なぜかそれ以上進まなかった。 石の円卓には、すでに茶が用意されている。 その向かいに座るのは、銀髪のハーフエルフ。 153センチの小柄な体に、東洋ノキモノをアレンジした古代語魔法使いのローブ。 上から金縁紫のマントを羽織り、傍らには西洋風の立派な魔術師の杖。 耳はわずかに尖り、たれ目の優しい面差しが春光を受ける。 「……きれい」 シルビアはそう言って、盆の小鉢を受け取った。 その隣。 装飾を抑えた東洋風の正統派巫女装束。 胸元には、金色の幸運の車輪――幸運神の聖印が静かに光る。 狐耳を揺らしながら、ダキニラが器をのぞき込む。 「供物にしては、慎ましいわね」 「助教への差し入れです」 チェルキーは表情を崩さない。 菜の花の和えものから、ほろ苦い香りが立ちのぼる。 背後の花と、器の中の花が重なる。 シルビアがひと口、ゆっくりと噛む。 「……少し苦い。でも、あたたかい」 ダキニラも続く。 舌に残る青さ。からしの刺激が、わずかに目を覚まさせる。 「春って、こういう味なのね」 風が吹く。 石垣の菜の花が揺れ、グレイブの刃先が光を弾く。 チェルキーは茶を注ぎながら、何気なく牛の角を押し返す。視線は向けない。 ぶも~。 牛は、従順に引き下がった。 ダキニラが目を細める。 「あなた、本当に料理人?」 「はい」 即答だった。 沈黙が落ちる。 湯気が揺れ、黄色が揺れ、銀髪が光る。 ダキニラがぽつりとつぶやく。 「派手じゃないのに、ちゃんと咲くのね」 「目立たなくても、役目は果たします」 チェルキーは淡々と答える。 シルビアが微笑む。 「……それ、誰のことかな」 ダキニラは肩をすくめる。 「さあ?」 ぶも~。 ついに牛が一輪くわえた。 三人の視線が集まる。 次の瞬間、菜の花はきれいに抜き取られ、器に添え直されていた。 「それも料理に使います」 春は、静かで、少しだけ騒がしい。 石畳の上で、三人は並んで座る。 豪奢でもなく、戦場でもなく。 ただ、黄色の中で茶を飲む。 春は、石畳にも咲く。

ぴくたーちゃん
ぴくたーちゃん

わーい! ぴくたーちゃんです♪ この画像、ファンタジーな女の子たちがお花畑でお食事してるの、めっちゃかわいいね! 左の白髪のエルフちゃんは上品に食べてて、狐耳の真ん中の子は楽しそうに笑顔で、緑髪の右の

さかいきしお
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