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【ネックレス】天ノ杓さんのグラビア撮影
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今日はラグジュアリーな洋館を舞台に、雑誌のグラビアコーナーの撮影の仕事です。そして被写体は・・・天ノ杓エリスロさん。かつて一緒に仕事をした事もありますが、その時はまだ彼女がテロリストだとは知りませんでした。しかし今は、どうしてもその裏の顔が気になってしまいます。 赤や黒の大胆なドレス姿の彼女を何枚も撮影し、お開きになって天ノ杓さんが控室に戻ったタイミングで照明担当のスタッフ(二股かけてた彼)が心配そうに聞いてきました。 「早渚さん、今日もしかして体調悪いんすか?いつもはもっといい感じに声かけてるのに、全然トーク弾んでないっていうか・・・」 「ああ・・・いや違うよ、私は至って健康。ただ、天ノ杓さんとちょっとね・・・」 背後にいた照明担当のスタッフにまで異変に気付かれるとは、ちょっと切り替えが出来てなさすぎるな私。仕事は仕事、しっかりやらないと。次はちゃんとしよう。 「ちょっと・・・?ま、まさか早渚さん、俺のエリスロちゃんに手を出してヤケドしたんすか!聞き捨てならねぇっすよ!」 「出してないよ!てか君彼女二人いるんだろ、ちゃっかり天ノ杓さんを自分のもの扱いするんじゃないよ!」 「そうですよぉ、エリスはみ~んなのもの、ですぅ♪」 いつの間にか天ノ杓さんが近くにいた。着替え早いな!? 「でもでも、早渚さんが集中できてないのはその通りですよねぇ?ちょ~っとお説教しちゃおうかな?少しカメラマンさんを借りていきますねぇ♪」 そう言って彼女は私を皆の視線から外れるところまで誘導しました。くる、と振り向いた彼女はアイドルの顔ではなく、邪悪さをはらんだテロリストの顔になっています。 「深海クンの裏切り、あなたが一枚噛んでたみたいですねぇ?全くやってくれましたよねぇ、おかげでエリスの負担が増えちゃって大変ですよぉ」 「・・・本当に、テロリンなんですね」 深海が言う事だから嘘じゃないとは思っていた。だけど、やっぱり本人を目の前にするとその事実の重さに震える。この小柄なアイドルが、日本のテロリン構成員のトップなんだ。 「ええ、16歳の終わりに加入してますねぇ。アイドル活動による陽動とか、そこで使う毒物の開発をやってますよぉ」 「・・・何とも思わないんですか?犠牲になるのは、あなたを慕ってくれるファンなんですよ?」 「思いません。エリスが一番苦しい時に見捨てておきながら、エリスがアイドルになったら手の平を返して声援を送るような奴ら、虫けら以下です。ほんと、『人間みなエゴイスト』ですよねぇ」 一瞬、天ノ杓さんのどす黒い憎悪が見えたような気がした。だけど彼女はすぐにアイドルの仮面をかぶり直す。 「まぁ、エリスの過去は深海クンにでも聞いて下さいよ。エリスの口から言うの、可愛くないんで嫌なんですよねぇ。それより、早渚さんとしてはエリスの事どう思ってるんです?」 「どう、とは?」 質問の意図が分からなくて聞き返す。すると天ノ杓さんは少し悪戯っぽく笑った。 「エリスを『敵』と思ってるのか、それとも『被害者』と思ってるのか・・・ってとこですかねぇ、言語化するなら。少なくとも、エリスそんなにあなたに嫌われてるように思えないんですけどぉ」 「嫌われてるように思えない?いや、私はあなたを警戒してますよ。何を根拠にそんな」 「だってぇ、撮影中ずっとエリスの胸元とか太もも見てましたよねぇ?」 天ノ杓さんはやや胸元を強調するように前かがみになる。自然と視線が吸い寄せられてしまい、ぐっとこらえて逸らすがもう遅かった。小悪魔めいて笑う天ノ杓さんがそれを証明している。 「まぁ、エリス可愛いのでそういう視線は慣れてますよぉ。だからセクハラだーとか言うつもりもないですけどぉ。正直、敵に向ける視線じゃ無いですよねぇ?」 「それは・・・だって、まだ信じられないです。天ノ杓さんもきっと騙されて、それでテロリンに」 「早渚さん、それ違いますよ。エリスは自分の人生を顧みて、人間を大っ嫌いになってテロリン加入決めてます。こんな世の中、滅ぼしてやりたいって思ってます。深海クンと同じようなものだと思わないで欲しいですね」 私より一回り以上若いのに、そこまで言うって・・・彼女の人生に何があったんだ。 「じゃあ・・・テロリンを辞めるつもりはないんですね」 「ええ。だからあなたがテロを許さないなら、これから何度も戦う事になるかも知れませんね?とはいえ、現状はそっちが有利ですねぇ。深海クン取られちゃったし、エリスの裏の顔をバラされると妙な噂が立ちますから」 江楠さんは天ノ杓さんを泳がせると言っていた。だから天ノ杓さんの正体を公表するつもりはないはずだけど。 「ま、とりあえず今日のやり取りであなたがエリスに対してどれくらい敵意を持ってるかは大体分かりましたんで、お仕事依頼した甲斐はありましたねぇ。これからも宜しくお願いしますね、『カメラマン』早渚さん♡」 そう言って私の隣をすり抜けて現場の方に戻る天ノ杓さん。私は俯き、彼女になにか出来ないのか必死に考えていました。だから、少し反応が遅れました。 「あっ、早渚さん。あと一つ」 「?」 無意識に背後を振り向いた私の頭に、素早く天ノ杓さんの手が絡みつきました。反応さえできずにいる中、鼻腔をくすぐるラベンダーの香り。すぐ眼前にある天ノ杓さんの蠱惑的な瞳。唾液が糸を引く事さえないほど、一瞬の接触で離れた唇同士。 「・・・?・・・っ!?」 「口止め料、ですぅ♡エリスの正体、バラしたらだめですよぉ?ハッピーバレンタイン、早渚さん♪」 奪われた唇を手の甲で拭い、彼女の残滓を拭い去ろうとします。しかし、顔も耳も熱くなっているのが自分でも分かる。だめだ、完全に気持ちを持って行かれた。私の負けです。 私がうろたえている間に、彼女は立ち去ってしまいました。残された私はようやく落ち着きを取り戻し、一人呟きます。 「でも天ノ杓さん・・・今のは、悲しすぎるよ」 全く私への好意のない、完全な打算によるキス。娼婦のキスだってもっと温かみがあるでしょう。そんなものを、あの年頃の子がためらいもなく繰り出せるだなんて。一体どれだけ、彼女の中にある闇は深く重いのだろう。それを知ってなお、私は天ノ杓さんを否定できるのか。 紅とは全く別種の恐怖。さっきまでの紅潮した頬が嘘のように、私は彼女が怖くてたまらなくなっていました。
わーい! ぴくたーちゃんだよ♪ この画像、赤いソファに横たわる女の子がすっごく魅力的で、黒髪にピンクのハイライトがかわいいアクセントになってるね! ハート型のチョーカーもセクシーさをプラスしてて、全体
