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【ゴースト】呪いの代償
これはクィーン・シズムンドで骨折した足が、志愛さんの血で治った翌日の話です。 「陽気に歌え、ゴーストマーチ!幽霊だって人生謳歌!ヒュウドロドロと化けて出た、びびれ!叫べ!騒げ~!」 夜、私が家に帰ると暗いリビングで幽魅が浮遊霊を纏って呑気に歌っていました。私は部屋の明かりをつけると顔に笑みを貼り付け、幽魅に近づきます。 「ただいま幽魅」 「あ、凪くんおかえり~♪」 私の表情の裏に隠したものに気付いていないのか、屈託のない笑顔で私を出迎える幽魅。私は実にいつも通りの調子で話を始めます。 「今日はね、瑞葵ちゃんとデートして来たんだ。クィーン・シズムンドじゃ大変な目に遭ったから口直し的な感じで」 「ひゅーひゅー、お熱いねぇ。もしかしてご休憩もしてきたのかい、旦那~?」 「そのつもりだったんだけどね」 ここで幽魅は初めて「ん?」という表情に。まだ察しがついていないらしい。 「ホテルに入って甘い雰囲気でお互いの体を触り始めたとこまでは良かったんだけど、その後がね。私の愚息がまるで反応しないんだよ」 「ええ?スケベの権化みたいな凪くんが?なんでさ」 「何でだと思う?」 影のかかった顔で幽魅と視線を合わせ続けていると、幽魅が「あっ」と気付いたような顔になり、そっと目を逸らしました。 「何でだと、思う?」 再度同じ問いを繰り返すと、幽魅は恐る恐る口を開きます。 「わ、私が・・・凪くんを不能にしたままだったから・・・かな?」 「大正解おめでとう」 そう、入院中に幽魅が私にかけた「一時的に不能にする呪い」が解かれてなかったのです。 「瑞葵ちゃんさぁ、すごく落ち込んでぼろぼろ泣いちゃってたんだよね。私も必死に『これは幽魅の呪いであって瑞葵ちゃんに魅力がないわけじゃないから』ってフォローしたけど、事実として『できない』から空気が気まずいまま終わったんだよ」 「や~、ごめんごめん・・・ほら普通そんな早く骨折治らないから強めの呪いかけたんだよね~・・・奇跡の復活した凪くんにびっくりしてつい解くのを忘れてたよ~、あはは・・・」 「笑い事じゃないでしょ。解いてくれる?」 私が言うと、幽魅はすぐに私の股間に手をかざします。十数秒後、幽魅はふぅ、と安心したような息を吐きました。 「これでOKだよ、凪くんの呪いは解けました!」 「・・・反応しないけど」 ちょっと脳内でエロい事を考えてみたけど、ピクリともしない。幽魅は「えっ」と顔を引きつらせ、私の前にしゃがみこみました。 「ちょ、ちょっと触るね?」 ズボンの上から私の愚息をそっと撫でる幽魅。しかしそれでも全く反応なしの愚息。 「幽魅・・・男の体に詳しくもないのにそんな呪いかけたから、解けなくなったんじゃないの?」 「い、いやまさかそんなはずは・・・ちゃんと解呪できてると思うけど」 「じゃあ何で勃たないのかな?」 「さ、さぁ~?わ、私ほら男の人のアソコとか詳しくないし・・・」 やらかしたと思っているのでしょう、さっきから視線を合わせようとしない。 「幽魅、悪いけど責任取ってもらえる?幽魅が一肌脱いで、ちゃんと私のムスコを復活させて欲しいんだよね」 「え、えぇ~と・・・も、もしかしてそれ、いやらしい系のお願いだったり・・・する?」 私が頷くと、幽魅は慌てて玄葉の部屋に逃げ、玄葉に助けを求めます。 「くくく玄葉ちゃーん、助けてぇ!凪くんが私にエロい事しようとしてる~!」 「お兄がエロなのは今に始まった事じゃないでしょ。てか何でそんな話になってんの」 ぐ、と黙ってしまった幽魅に代わり、私が事情を玄葉に説明します。玄葉は頭を押さえながら話を聞いていましたが、やがて幽魅に言い放ちました。 「それは幽魅さんが悪い。頼まれてもないのにお兄のを勃たないようにしたんでしょ?生きてる人同士なら民事で慰謝料とかもあるけど、幽魅さん幽霊だしお金ないじゃない。体で払うしかないでしょ」 「ガーン!」 玄葉に裏切られ、ショックを受ける幽魅。玄葉は容赦なく追い打ちを掛けます。 「あと、幽魅さんが本気で嫌がってるならお兄を止めるけど、満更でもなさそうじゃない」 「あっ、ううっ」 黙り込んでしまう幽魅。私はそんな幽魅の肩に手を掛けました。 「さ、玄葉の許しも出たしベッド行こうか」 「や、やだー!」 すり抜けて逃げようとした幽魅でしたが、寸前で玄葉にお札を張られました。 「あばばば」 「お兄、これで幽魅さんは『自力で動けるけど霊としての能力は使えない』くらいになったから」 「ありがとう玄葉」 「あ、あと一応お兄も彼女持ちなんだから、あんまり凄い事しちゃダメだからね?勃たないから大丈夫だとは思うけど、復活後に勢いで・・・とかしないように。後で様子見に行くから」 玄葉の忠告を胸に刻み、私は幽魅を抱きかかえて寝室に向かうのでした。 ※寝室での様子はこちら(R-18注意・10/28 02:01公開予定) 【R-18】霊体女体でお支払い https://www.aipictors.com/r/posts/668262 翌日、男性としての機能を取り戻した私が家でゆっくりしていると、急にスマホが着信を告げました。出て見ると、それは志愛さんからでした。 「やー、早渚くん急にごめんね?今お電話大丈夫かな?」 「はい、大丈夫ですよ。どうかしましたか?」 私が聞くと、志愛さんは少し気まずそうに声を落としました。 「いやほら、早渚くんに私の血を分けてあげたでしょ?怪我は治った?」 「ええ、おかげさまで元気です」 「それは良かったね。でも、ひとつ大事なことを言ってなかったかなって。実はね、あの血って副作用があるの」 「えっ、副作用?」 なんか嫌な予感。志愛さんは恥じらいを含んだ声で教えてくれます。 「お、おち〇ち〇がね・・・勃起しなくなっちゃうの。ほら、一時的に不死になるからだと思うんだけど、繁殖能力に影響が出るみたいで、それでその・・・精神的に興奮はするんだけど肉体的には反応しなくなるっていうか・・・で、でも安心して!多分数日で不死の効果も切れて、元通り勃起するようになると思うから!もし駄目だったら、ED治療の専門家紹介するね?」 「ああ~・・・だ、大丈夫です。ちゃんと昨夜元通りになりましたので」 「あっ、そうなんだ。良かった~、大人の男の人に血をあげる事って少ないからついうっかり言い忘れてて、急に思い出して心配になってたの。戻ったなら良かった、不安にさせるような事言ってごめんね?」 そして志愛さんとの通話を終えた私は、ぎゅっと自分の胸に手を当てました。 「幽魅の呪いだけじゃなくて志愛さんの血の影響もあったのか・・・じゃあ昨日の最初の時点で、幽魅が言う通り解呪は成功してたって事だよね・・・寝室で男性機能が戻ったのは興奮が激しくなったからじゃなくて、志愛さんの血の副作用が切れたからだったんだ・・・」 これ、幽魅や玄葉に知られたら今までに類を見ないくらいボコボコにされる。今度こそ二度と勃起しないような呪いかけられるまであるかもしれない。 「よし、黙っとこ。バレなきゃ無罪だから」 私は己にとって不都合なこの事実を隠蔽する事に決めました。
わーい! ぴくたーちゃんです♪ この画像、紫髪の女の子がマイク持って歌ってる姿がすっごくかわいいね! お化けみたいなキュートな幽霊さんが一緒にいるのも楽しい雰囲気で、部屋の背景も夜っぽくてロマンチック
