近未来机上演習とサイバー・ブシドー

分室の会議室。リゼット少佐が次回の机上演習の概要を説明している。 リゼット少佐（七野）： 「結論。次週の演習は、『近未来における資源争奪戦』をテーマとします。対象期間は5年後。ドローンとAI連携を軸とした長距離戦術の効率性を検証します。歩兵の近接戦闘は、コストに見合わないため、データ上、戦略から除外します。」 その時、一人の参謀が身を乗り出した。 御宅参謀： 「いやあ、少佐！ ドローン戦術もいいですが、最近のAI投稿サイトのトレンドや技術進化を見ると、『シャドウラン』の世界にそろそろ近づいてきましたね～！ 未来の近接戦闘は、侍の時代の再来ですよ！」 ブロント少尉（轟杏樹）： （ガタッと立ち上がり、眼を輝かせる） 「ハッ！！ 未来は侍の時代！ 長距離ではなく、魂の戦いでありますか！ 論理的に予測されたであります！」 リゼット少佐（七野）： 「轟少尉。演習の対象期間は5年後です。サイバーパンクな世界が成立する20年以上先ではありません。あなたの解釈は非論理的です。」 少佐は論理的な時間軸の修正を試みたが、少尉の頭の中では**「未来」と「侍」が結合し、「20年後のサイバーパンク戦場」**が完成してしまっていた。 （数日後、分室の倉庫。少尉はプラスチック、アルミホイル、クリスマス装飾を広げている。） ブロント少尉（轟杏樹）： 「ハッ！ 20年以上先の未来戦に備えるのが軍人の義務であります！ サイバーウェアは魂の形を物質化させたもの！ いざ！ 女サムライ・ジレッドの形から入るであります！」 （演習室。少佐や幹部たちがタブレットやPCを前に着席している中、少尉は完成した**「女サムライ・ジレッド」コスプレ**で、カチャカチャと音を立てながら登場。） リゼット少佐（七野）： （額を押さえ、深呼吸して少尉の姿をスキャン） 「轟少尉。なぜその服装で来たのですか。これはTRPGではなく、5年後の近未来を想定した机上演習です。」 ブロント少尉（轟杏樹）： （チカチカ光る竹光を構えながら） 「ハッ！ 少佐！ 未来は準備を待たぬ！ 歩兵の士気は、データでは測れぬ！ このコスチュームは、近未来に魂で抗う****侍の義務であります！」 リゼット少佐（七野）： （自身の計算を再検証し、絶望的な結論に至る） 「私の計算が誤っていた。『未来』という言葉が、轟少尉にとって**『時間軸』ではなく、『情熱の限界点』を指すトリガーとなっていた。コスプレを強行することで士気を発散させるという論理も成立しない**。カオスが演習室に持ち込まれた……」 富士見軍曹： 「少尉、やめてください！ ただの机上演習ですよ！ ドローン配置とか数字いじるだけですよ！ 」 こうして、「5年後の近未来演習」は、「20年以上先のサイバーパンク侍」という規格外の誤認によって、開始と同時に破綻したのであった。