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モフモフ逃走劇

チェルキーが白雀ちゃんをつけ狙っています 勿論逃げられます ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 美食神殿と呼ばれる食堂の裏手、鬱蒼とした森の中で、一人の少女が茂みに身を潜めていた。 緑の髪を高く結ったポニーテール、見た目は十三歳ほどだの少女だが、その表情にはただならぬ狡猾さと狩人の気配が漂っている。 細く尖った耳は獣のような敏感さで、獲物の気配を捉えていた。 「いた……白雀(しろすずめ)ちゃん。今日こそ逃がさないからね……!」 少女の名はチェルキー。見た目は可憐な美少女だが、美食の女神に仕える神官戦士にして料理人であり、そして何より……。 グレイブ(巨大包丁、もとい薙刀)を担いだまま、じりじりと間合いを詰める。 その時だった。 「ニャッ!!」 黒い影が茂みから飛び出した。 それは子猫ほどの大きさの黒猫。ちょこんと覗いていたかと思うと、チェルキーの目前を跳ねて飛び出し、白雀に向かってぴょんと跳びかかる。 「一緒に遊ぶニャ!!」 声が変わる。黒猫は空中で姿を変え、人間の童女の姿になった。黒髪に猫耳、尻尾が二本。黒いワンピースの袖が風をはらむ。 それが、変身魔法《ポルモリフ》を唱えた瞬間だった。 「ラ・ポルモリフ・マルグレイン!」 白雀の身体が、ぶわりと膨らんだ。瞬く間に馬車ほどの大きさに巨大化し、羽ばたく音が森中に鳴り響いた。 「あ、ちょっ……ケティちゃん!?」 店の常連(食い逃げ)であるケティとはもちろん面識がある。 チェルキーが叫ぶ暇もなく、ケティは巨大化した白雀の背に飛び乗り、にこにこしながら空へ舞い上がる。 「また逃げられた……!せっかく、今日はちゃんとモフモフできると思ったのに……」 地上に取り残されたチェルキーが、ちょっと悔しそうにため息をつく。その表情も、すぐに「まあいいか」とゆるんだ。 空を見上げる瞳は、どこか楽しそうでもある。 ――夜。 神殿の寝室は、静かで心地よい魔力に包まれていた。 チェルキーは布団に潜り込み、いつものように丸くなって眠っている。胸の上に、ふかふかした何かの重みがあった。 「……モフ……」 無意識に腕を回して、それを抱きしめる。 丸くて、あたたかくて、柔らかくて……幸せなモフモフ。 それは、さっきまで巨大化して空を飛んでいた白雀。 今は元のニワトリサイズに戻って、チェルキーの胸の上で丸くなっている。 窓の外。 そっと覗き込む小さな影。 ケティがいたずらっぽく笑って、指を一本立てた。 「……にゃふふ。今夜は、モフモフするといいにゃ。特別ニャ。」 月明かりが静かに差し込む中、神殿には小さな幸せが宿っていた。 モフモフ、ぬくぬく、夢の中。 そして明日もまた、逃走劇は続くのだった。

さかいきしお

コメント (16)

2025/06/18 15:15

飯!

2025/06/18 14:20
2025/06/18 13:47
2025/06/18 13:41

平和でよかった! 可愛くてほのぼのなコラボをありがとうございます♪ ちなみに私自身も白雀ちゃんの本当のサイズはわかっていませんが,抱けるぬいぐるみサイズなイメージなのでニワトリくらいはちょうどいい例えですね

2025/06/18 13:21
2025/06/18 12:53
2025/06/18 12:10

ナイス逃走!

2025/06/18 08:51

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