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守りたい!!この笑顔!!(ただし本人が言う)
広報室の掲示板のど真ん中。 「――ふふ、完璧だな」 ドヤ顔でふんぞり返る金髪ポニーテールの少女。 黒の詰襟軍服に金色の階級章と勲章を鈴なりに光らせたその姿は、まごうことなき帝国自衛陸軍・ブロント少尉。 彼女の視線の先には、一枚のポスター。 『守りたい!!この笑顔!!』 青と白の明るい制服に、まぶしい日差しと満面の笑顔。 しかし、笑顔の下――腰だめに構えたM3サブマシンガンが無言の圧を放っていた。 「新入隊員も百人は釣れるだろう。私の、明るさが、軍を救う。広報の鑑だな、私は」 「……お前が言うなッ!!」 ドゴッ!!! 背後から飛んできた突っ込みは、拳。 的確に後頭部をとらえたそれは、広報班きっての常識人――富士見軍曹の鉄拳だった。 「勝手に募集ポスター作って火器持つな! しかも、自分で“守りたい”って! どの口が!!」 「うっ……だが、だが待て富士見軍曹、見よ、このいいね数を! ネットに載せたところ、三〇分で――」 「私が上に怒られる前に削除しろ!!!」 ※この後、ブロント少尉は「自画自賛は悪ではない」とかなんとか言いながら、軍法会議にはかけられませんでしたが、士官学校広報班の掃除当番が半年延長されました。