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青空に広がる:三人飛行

高度4000メートル・・・・・・ 「……ちょっと待って!? なんで私、空飛んでるの!?」 富士見軍曹は叫びたかった。いや、叫んでいた。 だがその声は、爆風のような風音にかき消される。 視界の左右には、それぞれまるで鏡合わせのような女性が浮かんでいる。 右――金髪ポニーテールの長身少女、アンジェラ(ブロント少尉) 左――黒髪ロングの小柄な女医、安奈先生(お母様) 見た目はそっくりなのに、服装も雰囲気も正反対。 だが、どちらも落ち着き払った顔で、スカイダイビング中。 「ふふ、アンジェラと一緒に飛ぶのは初めてねぇ~」 「ええ、お母様。機上訓練ではなく、実地での同時降下はこれが初です」 「って、会話すんなァァ!! 何普通に親子で空中ランデブーしてんのよ!!」 富士見軍曹が、猛然と空中ツッコミをかます。 「私まだ状況も目的も把握してないんだけど!? 野良塾で芋掘ってたのよ!? 気づいたら飛行機の中で、そして今は空!! え、何!? この流れ誰得!?」 「軍曹、冷静に。落下姿勢が乱れると危険です。両足を揃えてください」 「あなたの言う“冷静”の基準おかしいのよ!!」 「富士見さん大丈夫よ、アンジェラにくっついてれば何とかなるわ。この子タイミング読むの天才だから。私はいつも他でもそうしてるし」 「えっそれ教官としてどうなの!?」 三人はまさに自由落下中。 パラシュートは未展開、だが高度は確実に下がっている。 「ていうか、ねぇ、アンジェラ……あんたどこに降りるのか知ってんの?」 いつもの慇懃無礼の余裕が消え失せ、素で問いかける富士見軍曹。 「……いえ、お母様に言われて飛び出したので」 「私もよ~、アンジェラが飛んだからつい勢いで♪」 「マジで計画性ゼロかアンタらァァ!!」 軍曹は絶叫しながら、しかし身体は自然とバランスを取り、空中で三人は美しいV字隊形を保っていた。訓練された者の落下だった。 * * * 「開傘!」 ブロント少尉――いや、アンジェラの冷静な声が響いた瞬間、三人の背に白い傘が咲く。 ふわりと空気をつかみ、速度が落ちる。 「お母様、視認目標あり。草地に一名。金髪……身長190以上?」 「ええ、私も見えたわ。ふふ……来てるわねぇ、あの人」 「誰なのよ!? ていうか父の日に向けてなに家族イベントしてんのよ!! 私だけ説明なしで飛ばされて、しかもこの格好!!」 「でも似合ってるわよ。ショートパンツ、爽やかでいいじゃない♪」 「殴るわよマジで!!!」 草地の中央、まるで待っていたかのように仁王立ちしている影。 だが、今はまだ正体がわからない。

さかいきしお

コメント (20)

2025/06/15 14:41
2025/06/15 02:51

ブルマ美女がパラシュートで降りて来るなんて絶景すぎますね!

2025/06/15 00:05
2025/06/14 21:37

父来たる!

2025/06/14 14:33

お父さん来た?

2025/06/14 12:40
2025/06/14 11:34
2025/06/14 06:35

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