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潮騒が奏でるモーニング・メロディ――エルフ戦士カフェリーナのオツシャレ日誌

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2025年03月20日 16時10分
使用モデル名:CustomModel(その他)
対象年齢:全年齢
スタイル:リアル
参加お題:

はじめまして、わたしの名前はカフェリーナ・アル・フェル。エルフの戦士をやっているんだけど、なぜか毎朝、会社に出勤しなきゃならない。オツシャレなカフェで朝食を楽しみながら出社するのがわたしのルーティンだ。  朝の陽ざしに照らされる海岸通りを胸張って歩く。左手にはお気に入りのバッグ、そして右手にはずっしり重い剣。……いや、戦士として武装は欠かせないんだけど、会社で「さすがに剣はダメです」って怒られたらどうしよう? なんて思うこともある。まあ、それより早くおいしい朝ごはんにありつきたい気持ちのほうが強いから、今日も剣を持参だ。 「へい、いらっしゃいませー!」  重厚な木の扉を開けて出迎えてくれたのは、いつも元気いっぱいの店長さん。わたしは笑顔で応える。 「おはようございます、店長。今日も海の見える特等席、いいですか?」 「もちろんだとも、カフェリーナさん! 今朝は海も穏やかですよ。今日のモーニングセットは新作のバゲットサンドがイチオシでね」 「楽しみ~!」  窓際の席に案内されると、あたりにしょっぱい潮の香りとコーヒーのアロマがふんわり混じり合う。カリッと焼かれたサンドイッチの音が聞こえてきそうなほど、厨房は活気づいている。わたしはちょっとだけ椅子を引いて、さも「絵になるエルフ」を気取る。スマホ片手に、どこからともなく風が髪をなびかせてくれるような写真を撮りたくなるのだけど……あいにくわたしの髪は風になびいてもイマイチ決まらないのが悩み。 「お待たせしました、バゲットサンドと今日のスペシャルコーヒーです」 「わぁ、最高。ありがとうございます!」  運ばれてきたサンドを見て、わたしは思わず笑顔。トマトやチーズがキラキラと輝いて、かぶりつく前から食欲が湧いてくる。  一口かじって、コーヒーをひとくち。思わずこぼれるこのセリフは……そう、「バゲットサンドは香ばしいよ。恋と一緒だな」。そりゃあ、渋い読書家みたいにきまればカッコいいかもしれないけど、ぽつりと言ってみると店長に変な顔をされた。ま、いっか。リアクションなんて気にしない、気にしない。  食事を終えて店を出るころ、入り口のほうから見知った顔がひょこっとのぞいた。そこにはお世辞にも「気が合う」とは言えない相棒のドワーフ、ルドルフが立っている。仕事上のパートナーなんだけど、これがどうにも仲が悪くてね。 「おい、カフェリーナ。おまえ、またこんなとこで朝食か?」 「え、わたしがおしゃれに朝食を食べちゃいけないわけ? ルドルフはやっぱり、パンよりビール派?」 「俺だってちゃんと朝飯食うわ。ドワーフは健康が大事だからな」 「ふうん、そう。で、何の用?」 「会社の備品で、剣をジャマ扱いされてるから早く置いてこいって上司が怒ってるぞ」 「うわ、マジ? でも剣は戦士の命みたいなもんだし~。デスクの脇に立てておけばいいでしょ」 「無茶言うな。……冗談、顔だけにしろよ」 「ひどいなぁ。顔だけって、わたしの顔は自慢なんだから余計傷つくんだけど」  そんな愉快とも言えないやり取りをしながら、結局わたしは会社へ直行する前にいったん家に戻るハメに。むすっとするルドルフを横目に、カフェの店長に軽く手を振ってカランコロンと扉を出た。  会社までの道のりは、ビル群が立ち並ぶ都会の景観。海から吹きそうな風はもう感じられないけれど、心の中にはあのコーヒーの香りと波の音がまだ残っている。仕事なんて堅苦しいかもしれないけど、わたしはわたしらしく過ごすだけ。天然だとかわがままだとか、いろいろ言われるけど、逆にそれこそがわたしの魅力なんだから仕方ない……はず。  正午近くになると、退屈な会議が予定されていた。戦士としての作戦会議ならやる気も出るけど、会社の会議はどうも苦手。長机の向こうで上司が書類の数字を指さんざん叩きながら、経費削減だのなんだのとやかましい。わたしはというと、頭の中で今朝のバゲットサンドの味を思い出したり、今度はどんなカフェに行こうか考えたりで忙しいんだけど、もちろんそんなことは口に出さない。気ままでも、一応社会人としての常識はわきまえている。それにしても書類の山はまるでオークの群れみたいに恐ろしい……。  夕方が近づき、業務が終わるころには気が重い。ルドルフに「なあ、今日は剣忘れるなよ」と呪文のように言われて、心の中でため息をつく。結局、仲良くなるのはまだまだ先かもしれないけど、戦士同士の連携が大事なのは確か。明日はもう少し、話をしてみよう……いや、わたしから話しても波風が立つかもしれない。むしろルドルフから話しかけられるのを待つのが無難かな? そんな葛藤を抱えつつ、わたしは会社を出る。  そして、いつもならここからまっすぐ帰宅だけど、今日はどうしても海のカフェに夜景を見に戻りたい気分。仕事をしたごほうびに、あの香ばしいコーヒーをもう一杯……それこそがオツシャレエルフの楽しみでしょ!  夜のとばりが降りるにはまだ早く、淡く蒼い空が広がる海辺のカフェテラスには、さざ波が窓辺を揺らす音だけが優しく響いております。前方にはシルエットを溶かすような白い雲が、はるか水平線とそっと交わり、まるで儚い夢の片隅へといざなうような姿を見せております。そんなひとときに身を委ねるのは、朝の匂いをまだ心に抱えたままのエルフ。彼女が見つめる海には、きらめく光の軌跡が走り、まばゆいほどの未来を映し出しているようにも思われるのです。まさに、オツシャレと潮騒が織りなすひと幕でございます。

コメント (2)

ガボドゲ
2025/03/22 13:11
Jutaro009
2025/03/21 13:30

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いいねコメントありがとうございます。忙しくなって活動を縮小しています。返せなかったらすみません。

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