光の旗のもとに

ダキニラとリリスが、自称、「光と正義」の神に仕える狂信者たちを内偵しています。 異世界でもさらにいってしまっている、聖歌を間近で聞かされるダキニラは貧乏くじを引いたようです。 https://suno.com/song/abad951a-623e-4814-b7da-18a3104c8dc5 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー リリスは聖堂の天井裏に身を潜め、板の隙間から下を覗き込んでいた。光に満ちた大聖堂では、狂信者たちが熱狂的に合唱している。自らの正義を疑うことなく、異端を断罪し、光の名のもとに世を導くと謳うその旋律は、あまりに独善的で、一周回って滑稽ですらあった。 リリスは鼻で笑いそうになるのをこらえながら、そっとため息をつく。彼女の姿は、闇に溶け込む灰色の装束に包まれ、黒ずんだ天井裏の梁にぴたりと伏せるようにしていた。武装した体の輪郭すら、影の中に溶け込むほどに静かだ。 だが、その笑みまでは隠せない。 「これはひでえな……」 呆れたように小さく呟き、唇の端を釣り上げる。 「こんな歌うたってたら、”お巡りさん”に捕まるぜ」 下では、光の名を掲げる狂信者たちが歓喜の歌を高らかに歌い上げ、まるで陶酔に浸るかのように踊り出す者すらいた。ステンドグラス越しに降り注ぐ光が、まるで神聖な祝福のように広がるが――リリスの目には、それが欺瞞と狂信の象徴にしか見えなかった。 「光とはずいぶん都合のいいもんだぜ。」 その視線は、聖堂の片隅に紛れ込んでいる小さな影を捉えた。ローブをまとい、狂信者の群れの中に紛れながら、肩を震わせている少女。 ダキニラ。 彼女は爆笑寸前の表情を懸命にこらえながら、必死でその場の空気に溶け込もうとしているようだった。狐耳が僅かに震えているのを見て、リリスはまた苦笑を漏らす。 「……お互い、大変だな。代わってやんね～けどよ」 光に満ちた聖堂と、闇に閉ざされた天井裏。 欺瞞と狂信の象徴の下、冷静な目を持つ者たちは、今日もまた闇に身を潜める。 『イントロ：パイプオルガンと軍鼓） （合唱） 光よ、燃え上がれ！　暗闇を焼き尽くせ！ 正しき道を進む我ら、神の剣となりて！ （男性パート） 邪悪なる者よ、震え伏せ！ 神の声を聞かぬ者に、安息なし！ （女性パート） この手に掲げるは、聖なる炎 穢れし影を焼き払い、清き地を築かん！ （全員・サビ） 進め、進め、光の旗のもとに！ 裁きを下せ、正義の刃よ！ 聖なる主（ファリア）の名において 邪悪を討ち、世界を照らせ！ （ブリッジ） （厳かに詠唱するように） 主の御前に罪はなく 主の意志に迷いなし 汝の信仰、ただ一つ 汝の使命、ただ一つ 「汝、正しき光とならん」 （サビ・リフレイン） 進め、進め、光の旗のもとに！ 血潮流れど、恐れなし！ 聖なる主（ファリア）の名において 邪悪を討ち、世界を照らせ！』