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パンクファッションって難しい!
●女性衣料品専門店の試着室にて 「カッコ良い・・・のかな?これ」 雑誌で見たパンクファッションってこんな感じだと思うんだけど。 う~ん、でもノーブラだとやっぱり垂れちゃうな。しかもちょっと動いたら先っぽ見えちゃいそうだし。何かで支えないとダメかなー。 町で見かけた青髪のお姉さんはこういうジャケットをカッコ良く着こなしてたから、私にも出来るかなって思ったんだけどなぁ。 どうしよう・・・今月お小遣いピンチだし、やっぱり買うのやめようかな。パパがせっかくちょっとだけ帰ってこれるから、いろんな服を見せてあげたかったんだけど。 あ、そうだ。凪おじさんに相談してみよう。きっと色んなモデルの子を撮影してるから、どうすればカッコ良く決まるかアドバイスくれるはず! 「さなぎさなぎ・・・さ行、さ行・・・あった!」 自撮りして送信!ちょっとえっちぃカッコだけど、凪おじさんにならブラも見られてるし、ちょっとくらい見られてもセーフでしょ。 「あ、返事きたきた」 『桃宮ちゃん、画像送る前に、一言前置きして欲しかったな。妹の玄葉に着信画面見られちゃって、私殺されそうになったんだけど』 あー、ミスった。凪おじさんに悪い事しちゃったかな。 『ごめーん凪おじさん。次は気を付けるね。これ今着てるパンクファッションなんだけど、カッコ良くしたいからアドバイスちょーだい』 送信送信。あ、次のメッセージだ。凪おじさんメッセ打つの早。 『そうだね、次回から気を付けてもらうよ。それでこの服についてだけど、とりあえず、これどういうシチュエーションで着るつもりなのか教えてくれないかな。彼氏の前でだけとかならともかく、友達とか家族の前に着ていけないでしょ』 「え、ダメかなー。まあ、男子に見られるのはちょっとハズいかもだけど、家族はアリじゃね?」 とりあえず『パパに見せようと思ってた』って言っとこ。 『桃宮ちゃん、手塩にかけた愛娘がこんな過激な格好してたらお父さん卒倒しちゃうよ。せめてチューブトップとか合わせなさい』 えっ、パンクって上半身ジャケット一枚じゃなくてもいいんだ!?雑誌のお姉さんが皆ジャケット一枚だったからそういうものだと思ってたし! 『それから、向日葵ちゃんには相談した?』 あ、ヒマ先輩か。そう言えば学園祭のコスでもお世話になってたっけ。 『ヒマ先輩にはまだだった!凪おじさん、ありがとー。ヒマ先輩に相談してみる!』 「えーと、鈴白向日葵だから・・・さ行のす・・・」 「へい、呼んだかな弥美ちゃん!」 ヒマ先輩が試着室にひょこっと顔を入れてきた!ナイスタイミングじゃん! 「ヒマせんぱーい!アドバイスください!」 「弥美ちゃ~ん、とりあえずその無駄にでかい乳しまってくれるかな~?私の血管が切れる前に、ね」 あれ、ヒマ先輩なんか怒ってる?私、やっぱりパンクファッション間違ってたかな。パンクって難しいなぁ。